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    <音楽と言語(その2)>ジョニー・ウィンター

    2014.12.22

    2014.5.31の続き

    「音楽と言語(その2)」ジョニー・ウィンター

    そのような神々は時に人間の形で現れてくる場合がある。その一人であるジョニー・ウィンターが今年亡くなった、というより神の座に戻って行った。

     

    今からもう25年以上前、ジョニー・ウィンター初来日の噂は私たちの周りに春の嵐のように広がっていった。ファイヤーバードで弾くのか?それともスタインバーガーか?もうすぐ本物のジョニーを目にできる。ところが、トラブルがあった。ジョニー・ウィンター来日中止。なんと!

     

    その時から25年以上が経って、来日決定。とうとう今年、六本木のライブハウスでジョニー・ウィンターを目にすることができた。齢70歳。一曲目はジョニー・B・グッドだった!そんなにがんばらなくても良いのに。ほとんど目が見えていないし、腰も悪そうで、ずっと座って弾いていた。もっとゆっくりしたスローブルースをやれば良いのに。

     

    若い頃、インタヴューを受けたジョニーは語っていた。「ドラッグなんてやらないよ。ぼーっとするのは、じいさんになってからさ、いくらでもできるだろ。生きてるうちは動いてなきゃね!」

     

    アンコールでジョニーはファイヤーバードを抱えてバックステージから戻ってきた。大きな拍手が上がった。ギターが少し大きく見えた。
    六本木でのライブの数ヶ月後、ジョニーはこの世を後にした。

     

    Cheap tequila アルバムStill alive and wellより

     

    Cheap perfume, sweet perfume

    The lonely smell that fills the room

    Roses in your low rent tomb

    A picture made of cheap perfume

    Sad old rag, sad young hag

    Clothes that hide the early sag

    Sequins on a lame bag

    The sparkle of a sad old rag

    Drink up and be happy

    Live just for today
    Drown in cheap tequila

    And flush yourself away
    Flush yourself away

    Worn out dreams, washed up schemes

    Blueprint for a death machine

    Scarred wrist on a movie queen

    Picture of a worn out dream

     


    diseaseの意味するところ

    2014.11.28

    diseaseの意味するところ

    diseaseという単語が【dis-(離れて)+ease(安楽)】という構成であり、その意味するところは、「健康状態から少し遠のいた状態」であることは、語源的学習が少しばかり浸透してきた私たちのような英語学習者の大半が知っている。それでは、言葉の表すところとその本質について少し考えてみよう。

     

    ここではdisease代表として「風邪」にその役割を演じてもらおことにする。冬になると風邪が流行り、医者が抗生物質を処方する。患者は何も考えずに与えられた薬なるものを飲み、表面的には「治った」ようになる。問題は、この循環が正しいかどうかだ。病気はどこから来るのか?

     

    地球環境の循環システムと身体の循環システムとは基本的に同じであり、循環の概念が適応できない事象はこの世界には存在しない。

     

    「万物は流転する」とヘラクレイトスは語る。同じことを鴨長明は、
    「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と言う。

     

    「無よりは何ものも生じない」とデーモクリトスは言った。病気は、私たちの生の一部であり、自分とは無関係な単なる害ではない。病気は、私たちと今の生活、今のライフスタイルとの間に生じた齟齬であり、循環の乱れである。同時にその循環の乱れを示す有難いメッセージである。メッセージであるが故、受け取る人によってその意味するところの解釈が異なる。このメッセージは削除すればそれで済むスパムメールではない。あなた自身があなたに語りかけているメッセージである。

     

    古代ギリシャの医学の祖ヒポクラテスは、「病気とは、健康を脅かす力と生来身体に備わっている自然治療能力との戦い」と言う。病気は自然現象である。

     

    『風邪の効用』(野口晴哉、ちくま文庫)という本が面白い。風邪は病気ではなく、身体のリセットであり、治すものではなく、通過させるものであると著者は説く。この自然の循環を抗生物質などで「治す」ことは、身体にとって危険である。

     

    妖怪にも時々、良い妖怪がいるように風邪は病気の中でも良い病気であり、私たちの味方である。風邪は、より良いease(健康状態)へ向かうためのdisease(一時的に身体がマイナス方向へ傾いた状態)である。台風の後の空が晴れわたるように風邪を通過させた身体は快調になる。


    アメリカTVドラマ DEXTER

    2014.11.18

    アメリカTVドラマ DEXTER

    独断と偏見のみで選んだ最近のアメリカTVドラマのBest5。ランキング外にも面白いものは数多ある。
    日本の会社を経由した日本語入りのDVDと、海外仕様のものでは、価格が場合によっては一桁異なる。海外仕様のDVDは日本のDVDプレーヤーでは再生できない場合が多い。したがって、英語学習には、リージョンフリーのDVDプレーヤーを一台購入しておくと良い。一万円代で購入可能。

     

    アメリカTVドラマ Best 5

    No.1 Dexter

    No.2 Fringe

    No.3 Mentalist

    No.4 Criminal minds

    No.5 Breaking bad

     

    No.1 Dexter (2006〜2013)

    連続殺人犯が主人公である。しかもこの男はマイアミ警察の血痕鑑識官でもある。夜の顔と昼の顔。日中は殺人が行われた際の血液の飛沫の角度などから殺人者の凶器や立ち位置などを分析している。この男の名はデクスター ・モーガン。当然、死体処理にも秀でており自分の犯した殺人では捕まらない。この怪物の内面の揺れが面白い。いつの日か人間?になれるのか。

     

    season1の最初の3話を何とか我慢して見ると次第に嵌ってくる。デクスターが殺すのは警察の目を潜り抜けている凶悪犯であり、いつの間にか、「デクスター、見つかるぞ!早く逃げろ!がんばれ、デクスター!」と、この連続殺人犯を応援している自分に気づくことになるであろう。ただし、正義のために殺すのではなく、自分の殺人衝動を抑えられないために殺すという点が日本の「必殺仕事人」とは異なる。

     

    主人公のDexter・Morgan という名前は、語源をラテン語で解釈するとDexterは「右、正しい」を表す。Morgan の意味するところは、普通は以下とは異なる解釈だが、「死体置場」を意味するmorgueとの関連をどうしても感じてしまう。実際のところ作者の意図は分からないが、「正しい死」の暗示が思い込みとして読み取れてしまう。dexterの反対語はsinisterで「左、邪悪な」を意味する。

     

    以下のKey wordsをチェックして、season1からDVDで見てみよう。

    !!以下は現在、工事中!!

    Key words

    1. forensics :鑑識

    2. psychopath/psycho :精神病質者

    3.


    autumnの悲劇(語尾切断)

    2014.10.20

    autumnという英単語は一応中学1年生の時に習うようになっていて、普通は記憶するのに苦労するのであって、簡単に覚えられたという人は嘘を言っているか、又はこのスペルの余りの不自然さが逆に記憶の手助けになったはずでその異体に大いに感謝していることであろう。ただ、普通に考えると最後の -n が腑に落ちないのであり、これに謎を感じない方がおかしい。

     

    複雑なプロセスは、ここでは省くとして、autumnの元々のスペルはautumnus(読み方:アウトゥムヌス)であり、英語のautumnは語尾が切断されたと考えておけば良い。この不自然かつ理不尽な語尾 -n をもつ仲間を呼び出してみよう。

     

    column < columna

    damn < damnum

    condemn < condemnare

    hymn < hymnus

    solemn < sollemnis

     

    語尾切断現象は、以上のautumnグループに限るものではない。私たちが自然であると感じている英単語も実は、語尾切断、尻尾の切り落としの結果生まれた無情な歴史を背におっているかもしれない。たとえば、よく耳にする人を表す名称であるPaulは元々はPaulusである。では、名称系の仲間に数名いらしてもらおう。

     

    Paul < Paulus

    Philip < Philipos

    Peter < Petros

    John < Johannes

    Tom < Thomas

     

    autumn系、名前系の他にも切断単語はいろいろある。ここでは、可哀想なzooについて眺めてみよう。このzooなる英単語は元々はzoological gardenであり、発音は「ゾウオロジカル」、起源は由緒正しくギリシャ語で「動物」を表すzo- という語根と -logy(〜学)の形容詞形 -logicalで、zo・o・logical の2つ目の o は、単語の構成要素をつなぐ接着剤と見なしておけば良い。

     

    zoological gardenは単語としては長いので、初めの3文字のzooだけが言われるようになった。-oo- のスペルはschoolなどのように基本的に「ウー」と発音する。したがってその類推からzooは「ズー」というなんとも不本意な音を担うようになってしまった。

    下は参考までに。

    verb < verb(um)

    sport < (di)sport

    soccer < (as)soc(iation football)+ er

    coed < coed(ucational)

    math < math(ematics)

    fridge < (re)frige(rator)

    flu < (in)flu(enza)

     


    遠山由美のドゥブサル写本室

    2014.10.12

    無理強いされたスケジュールに突き動かされ、時計の数字に自分の行動を縛り付け、いつしか自分が自動操縦のロボットになり、寝ては起きての腹筋運動のような毎日が軋む音とともに慌ただしく流れる。そのような時に、ふとただ静かな空間を欲している自分に気づくことがだれにでもあるものである。時を止めることは可能か?

     

    文字美術家の遠山由美さんが代官山ヒルサイドライブラリー(代官山下車3分)にて「ドゥブサル写本室」という空間を主催されている。
    遠山さんは、手で書くという身体性に注目する。

     

    彼女は言う。「本を書き写す動作に集中するなかで、自分自身を見つめ、自分の字、自分らしいスタイルを見直して、自分自身と出会う。たとえ、ひとときであっても、自分と向き合える場、五感をつかって直感を得る場、それがドゥブサル写本室です」

     

    遠山さんと言えば、英語と日本語の両面文字dual letterで有名だが、常に世界の言語の研究に邁進されている。エドワード・ジョンストンの『書字法・装飾法・文字造形』(朗文堂)やセシリア・リンドクィストの『漢字物語』(木耳社)などの翻訳もある。

     

    「ドゥブサル写本室」。自分の時を取り戻す清澄な空間。都会の喧騒の中の異次元の場。ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』に出てくる写本室を思い浮かべても良いかもしれない。詳細は、クラブヒルサイド事務局03-5489-1267まで。