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locomotiveの視覚イメージ
locomotiveの視覚イメージ
フランスの言語学者の書いた本の中にlocomotive という単語をじっと見つめていると「汽車」に見えてくるだろ?というのがあったのだが、著者の名前も思い出せないし、その本は学生時代に読んだものでもう売ってしまったか家のどこかに埋もれてしまって発見不可能になっているかのどちらかで、まあとにかく、面白いのは、本当にlocomotive が汽車を横から見たイメージに見えてきたということである。
locomotive の先頭の煙突 l(エル)からは白い煙が出てきそうであり、車輪であるo とかc とかoとかoとかがゴトゴト音をたてて「列車」は左に進んでいく。
← locomotive
そんな風に英単語を眺めてみると、dogが「犬」に見えてきたのである。左に顔を向けており、お座りをしている。
dog
当然、catは「猫」に見えてくるのである。左向きで、尻尾をたてている。こっちに首をひねっているようにも見える。
cat
こんなイメージを持ったところで、なんの得にもならないが、言葉というものは、意味だけでできているものではないので、単語の視覚イメージや音の響きに注意してみるのも面白いかもしれない。
フロイトやゲーテの翻訳などをしている高橋義孝がエッセイの中で、「私は生きざまという言葉は好きではない」というようなことを書いていた。「生きざま」という言葉には「ざまあみやがれ」の「ざま」が入っているのでマイナスイメージを生み、敬意を示す相手に「生きざま」はないだろう、というのである。高校生の時にこれを読んで、なるほどと思ったことがある。
言葉には、その本来の意味がどうであれ手垢にまみれた汚いイメージを身に纏ったものがあり、正しさだけでは解決できない場合がある。いくら正義の人であっても匂うほど汚い服を身に纏った人は避けられる。単語の匂いまで嗅ぎ分けられるようになったら、語学の達人・超人?または病院送りかのどちらかであろう。
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