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不定詞の「不定」性について
不定詞の「不定」性について
不定詞とは?
英語において「to + 動詞の原形」のことを不定詞と言うことになっているが、この「不定」という言い回しが少しも気にならない人はちょっと鈍感である。to swimやto play baseballのどこを見ても不良少年の面影もないし、不運も不安も不憫も感じない。「不」のマイナスイメージがないのである。不定というからには、何か形が定まっていないドロドロしたものを思い浮かべたい。そんなイメージも不定詞にはないように思える。「不定」があるなら「定」があるはずである。
少し英語から離れて考えてみよう。日本において英語の次に学習者が多そうなフランス語を眺めて「不定」性にについてヒントを探ってみよう。
je donne I give
tu donnes You give
il donne He gives
nous donnons We give
vous donnez You give
ils donnent They give
▽不定詞
donner to give
左のフランス語(主語+動詞)に対して、右の英語(主語+動詞)を比べてみると、英語では、主語Heの場合(いわゆる「3単現のs」が動詞に付いている)を除き、動詞の形が全て同じであるが、フランス語の方は主語に対応して動詞の語尾がかなり変化しているのが見て取れる。この主語に対してはこの語尾、というように動詞の形が「定」まっている。このように、主語に応じて動詞の形が定められることを定動詞という。
英語において、主語とbe動詞の関係を改めて考えてみると分かりやすい。
▽定動詞
I am
You are
He is
▽不定詞
to be
英語においても定動詞のシステムが存在していることが分かる。be動詞の主語と動詞の関係性において、変化する動詞が定動詞である。be動詞以外では、あまり目に見えてこないが、主語が3人称単数の場合に定動詞システムが見えてくる(3単現のs)。
この主語に対して動詞の語尾が変化するシステムのことを、英語でfinite verb (定動詞または、定形動詞)と呼ぶ。これが「定」である。これに対して、動詞の語尾が変化しないシステムをinfinitiveと言う。このinfinitiveの接頭辞in-の部分が否定を表す「不」に相当している。これが「不定」である。
finite verb = 主語に応じて動詞の語尾が定まるシステム=「定動詞」
infinitive = 動詞の語尾が定まらない=動詞の形が一定であるシステム=「不定詞」
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