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diseaseの意味するところ
diseaseの意味するところ
diseaseという単語が【dis-(離れて)+ease(安楽)】という構成であり、その意味するところは、「健康状態から少し遠のいた状態」であることは、語源的学習が少しばかり浸透してきた私たちのような英語学習者の大半が知っている。それでは、言葉の表すところとその本質について少し考えてみよう。
ここではdisease代表として「風邪」にその役割を演じてもらおことにする。冬になると風邪が流行り、医者が抗生物質を処方する。患者は何も考えずに与えられた薬なるものを飲み、表面的には「治った」ようになる。問題は、この循環が正しいかどうかだ。病気はどこから来るのか?
地球環境の循環システムと身体の循環システムとは基本的に同じであり、循環の概念が適応できない事象はこの世界には存在しない。
「万物は流転する」とヘラクレイトスは語る。同じことを鴨長明は、
「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と言う。
「無よりは何ものも生じない」とデーモクリトスは言った。病気は、私たちの生の一部であり、自分とは無関係な単なる害ではない。病気は、私たちと今の生活、今のライフスタイルとの間に生じた齟齬であり、循環の乱れである。同時にその循環の乱れを示す有難いメッセージである。メッセージであるが故、受け取る人によってその意味するところの解釈が異なる。このメッセージは削除すればそれで済むスパムメールではない。あなた自身があなたに語りかけているメッセージである。
古代ギリシャの医学の祖ヒポクラテスは、「病気とは、健康を脅かす力と生来身体に備わっている自然治療能力との戦い」と言う。病気は自然現象である。
『風邪の効用』(野口晴哉、ちくま文庫)という本が面白い。風邪は病気ではなく、身体のリセットであり、治すものではなく、通過させるものであると著者は説く。この自然の循環を抗生物質などで「治す」ことは、身体にとって危険である。
妖怪にも時々、良い妖怪がいるように風邪は病気の中でも良い病気であり、私たちの味方である。風邪は、より良いease(健康状態)へ向かうためのdisease(一時的に身体がマイナス方向へ傾いた状態)である。台風の後の空が晴れわたるように風邪を通過させた身体は快調になる。
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