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遠山由美のドゥブサル写本室
2014.10.12
無理強いされたスケジュールに突き動かされ、時計の数字に自分の行動を縛り付け、いつしか自分が自動操縦のロボットになり、寝ては起きての腹筋運動のような毎日が軋む音とともに慌ただしく流れる。そのような時に、ふとただ静かな空間を欲している自分に気づくことがだれにでもあるものである。時を止めることは可能か?
文字美術家の遠山由美さんが代官山ヒルサイドライブラリー(代官山下車3分)にて「ドゥブサル写本室」という空間を主催されている。
遠山さんは、手で書くという身体性に注目する。
彼女は言う。「本を書き写す動作に集中するなかで、自分自身を見つめ、自分の字、自分らしいスタイルを見直して、自分自身と出会う。たとえ、ひとときであっても、自分と向き合える場、五感をつかって直感を得る場、それがドゥブサル写本室です」
遠山さんと言えば、英語と日本語の両面文字dual letterで有名だが、常に世界の言語の研究に邁進されている。エドワード・ジョンストンの『書字法・装飾法・文字造形』(朗文堂)やセシリア・リンドクィストの『漢字物語』(木耳社)などの翻訳もある。
「ドゥブサル写本室」。自分の時を取り戻す清澄な空間。都会の喧騒の中の異次元の場。ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』に出てくる写本室を思い浮かべても良いかもしれない。詳細は、クラブヒルサイド事務局03-5489-1267まで。
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