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日本語入門(1)
日本語入門(1)
「雨」は何と読むのか?
私たちの悪い癖で、顔が外国人の人に英語の質問などをして、その後、仲間の日本人に「だってネイティブがこう言ってたよ、だから絶対でしょ」などと言ってしまう傾向がある。そのネイティブの説明は本当に正しいのだろうか?
視点を変えてみよう。外国人が私たち日本人に日本語の質問をする。私たちは日本語を知っているつもりだから、なんとか質問に答えたとする。それ本当に正しいのだろうか?
日本人だからといって日本語(国語)の問題がいつも満点だろうか?
本当に日本語で言いたいことを効果的に表現することが会話でも書き言葉でもできるだろうか?
もちろん正しい「語法」という概念自体かなり特定しにくいし、「文法は慣用に基づく」ものであり、そこに法則性が発見され、理論的に文法化され、「正しいとされるもの」が現れて来る。
この「正しいとされるもの」=「論理的法則性」=「文法」を知ることで、私たちの言語活動が有益なものになれば文法を知る価値があることになるが、「学校で習う日本語文法」がほとんど何の役にも立たないことは私たちは経験値として知っている。
少なくとも英文法を学べば簡単な英文を書いたり読んだりできるようになるという意味において、日本語文法を知ることで日本語が上手くなるということはないであろう。
いっそのこと、日本語には「文法はない」とし、一例一例、この場合には「こう言う」という「自然な言い回し」を押し付けそれを「自然」に思うように学習者に強制すべきなのだろうか?
それとも、どのような日本語も雑草のように自然のなすがままに放置しておくべきなのだろうか?
私たち日本人が知ってるつもりの日本語に少しだけ疑問を呈してみよう。事例から法則性は発見されるだろうか?私たちは何に基づいて同じ言葉の読み方の使い分けをしているのだろうか?
次の二人の会話のやりとりを聞いてみよう。
Aさん:日本語勉強中のアメリカ人、日本語中級
Bさん:日本語を知ってるつもりの日本人おっさん、英語初級
A「雨」は、あなたは何と読むのでしょうか?
B 「あめ」と読むんだよ。もう少し勉強したまえ!
A ありがとう。では「小雨」は「こあめ」ですね。
B そうとも読むかもしれないけど、普通は「こさめ」と読むよ。
A おお、でも、それでは「雨」は「さめ」ですか?海のサメと同じ。
A いやその〜、時々音が変わるんだよ。「小雨」は「こさめ」って言うんだよ、暗記して!
B ありがとう。では「雨宿り」は「あめ・やどり」ですか、それとも「さめ・やどり」ですか、すいません」
A 「雨宿り」は「あまやどり」と読むんだよ。いろいろあるんだ、それも暗記してね〜。
B ありがとう。では、勘がいいですか、「雨量」の場合は、「あま・りょう」ですか?
A いやいや。ひっく、んっんー、ひっく、あれ、しゃっくりが出てきたっ、ひっく、うっ「雨量」は「うりょう」だよ。要するに、いろいろあるんですよ、日本語は難しいのですよ!
B しゃっくりの時、スプーン一杯の砂糖があなたを治します、では、お先に失礼いたしました。
以下、雨の読み方(1〜4)に音韻上の法則があるのだろうか?もし法則性があるのなら、それを文法と呼ぼう。法則性を発見できなければ、一つひとつ記憶する必要がある。
1 あめ
大雨(おおあめ)
雨男(あめおとこ)
雨風(あめかぜ)
長雨(ながあめ)
2 さめ
小雨(こさめ)
春雨(はるさめ)
霧雨(きりさめ)
秋雨(あきさめ)
3 あま
雨宿り(あまやどり)
雨戸(あまど)
雨傘(あまがさ)
雨雲(あまぐも)
雨水(あまみず)
雨合羽(あまがっぱ)
雨足(あまあし)
雨間(あまあい)
雨音(あまおと)
4 う
雨量(うりょう)
雷雨(らいう)
豪雨(ごうう)
梅雨(ばいう=つゆ)
雨季(うき)
晴雨(せいう)
暴風雨(ぼうふうう)
晴耕雨読(せいこううどく)
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