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日常の中の外国語(2)
日常の中の外国語(2)
前回の「日常の中の外国語(1)」では、いわゆる西暦を表すA. D. やNo. さらにa.m. p.m. が、全てラテン語であることを確認済み。
今回は、ドイツ語とフランス語を代表して、より卑近な例として「アルバイト」、「サボる」を取り上げてみよう。
カタカナに化けているので、正体を見極めるのは難しい。私たちの悪い癖でカタカナは何でも英語であると思いがちであるので慎重に。
1) アルバイト
「アルバイト」は、ドイツ語の名詞Arbeit をその読み通りカタカナにしたもの。Arbeitは、「仕事、労働」の意味で、英語のworkに相当する。接尾辞を付けてarbeiten(働く)とし、人称接尾辞を変化させれば動詞として機能する。
英語で「アルバイト」は、part-time jobが一般的。part-timeを副詞として、work part-time(アルバイトをする)とも言う。他に、moonlight(アルバイトする)などの表現もある。
2) サボる
「サボる」は、フランス語のsabotageという単語の前半部分「サボ-」
と日本語の動詞を形成するための造語要素
「-る」で作られている。
sabotageは、「故意に仕事をぞんざいに行なったり、仕事に欠かせない機械を破損させたりして経営者側にダメージを与えること」を意味する。
この造語が日本で使用され始めた当時、なんらかの理由で、sabotage というフランス語が新鮮であったのであろう。
造語要素後半の「〜る」は、繁殖力旺盛な造語要素なので日本語の単語が日々生まれている。以下、英単語の要素と「〜る」の組み合わせを見てみよう。
「ググる」<google
「ディスる」<disrespect
「バグる」<bug
「パニクる」<panic
次に、日本語要素+「〜る」を眺めてみよう。
「事故る」
「こくる」
「拒否る」
「愚痴る」
他にもたくさんあり、自分で作って使ってみると良い。たとえば、ネット的には「メリカる」、「アマゾる」、「ウィキる」など。食事的には、「マックる」、「スタバる」、「ドトる」など。
言葉は使うことに意義がある。今、使われている言葉は新鮮であり、それゆえにその言葉はすぐに痛み、腐り、廃れていく。
だからこそ、地域別に、また古代などに使用された言語の研究が人々の生活や思考法を探る最大の手掛かりになり、そこに今では失われた大切な知恵を見つけることができるかもしれない。
同時に今、私たちが使っている日本語は100年後、200年後には死語だらけになっていて、専門の辞書がなければ解読不能にっているかもしれない。または日本語が絶滅危惧言語になっている可能性もある。それに伴い日本人という概念も相当に変化しているであろう。
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