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ハワイアン・ピジン英語
ハワイアン・ピジン英語
英単語 foot(足)の複数形は feetである。
foot → feet (複数形)
同様に以下の英単語の複数形を確認してみよう。
tooth(歯)→teeth
goose (ガチョウ)→geese
問1 book(本)の複数形は?
英語の知識がゼロの人を対象にして、純粋に言語的な類推の力を試すのであれば、解答は以下のようになるであろう。
問1 beek ??
残念ながら、現実には、誰もが知っているようにそうはならない。
英語は唯一無二の法則が文法を牛耳っているのではなく、様々な理由であらゆる文法システムが混在しているからである。
この文法法則の混在が英語をより魅力的なものにしていると言えなくもないが、「より多くの人がより簡単に話す」という観点からはより単純なシステムが望ましい。
ハワイアン•ピジン英語では、この現代英語の複雑怪奇さを、よりシンプルな文法システムを採用することによって言語を再構成させることに成功している。
ハワイの人々のことやハワイ料理などで「ロコ」という言葉を私たちは耳にすることがあるけれど、英単語のlocal(地元の)がハワイアン・ピジン英語のlocoの正体のようである。
私立中学の英語の教科書として最も多く使用されている New Treasure にハワイアン・ピジン英語に関する興味深い記述があった。文法の単純法則の一例を眺めてみよう。
ハワイアン・ピジンの過去形の作り方
通常の英語では私たちは不規則変化動詞をgo – went、eat – ateのように記憶しなければならないけれど、ハワイアン・ピジンでは動詞の前に wen という過去形を表す語を置くだけで過去形を表現することができてしまう。
I ate.
→ I wen eat. (私は食べた。)
※このwenは、goの過去形のwent を「過去の象徴」として使っているのかもしれない。その際、スペルにおいて、あまり聞こえない後末の tを省略していると推測される(竜崎:注)。
数百年後の「現代英語」は、このような文法の単純システムが主流になっているかもしれない。日本の中学1年生を悩ます「3単現のs」も消失しているであろう。世界の主流になりえる言語は必然的に単純な法則が求められる運命にある。
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