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post-covid19 通信 No.8

2020.05.27

post-covid19通信 No.8

 

 

 

1894年

1904年

1914年

 

 

上の年度を見て直ちに何かを感じ取れますか?

 

 

先ずは法則性から眺めてみましょう。間隔が10年であることが分かります。

 

 

次に末尾の数字を見てみましょう。全て「4」=「死」となっています。覚えやすいですね。

今回は「死」についても考察します。

 

 

1894年 日清戦争

1904年 日露戦争

1914年 第一次世界大戦

 

 

戦争は「4=死」で始まり、暫くした後に終結はしますが、10年も経てば人間の記憶は薄れて再び惨禍を招きます。

 

 

今回は、この小さな年表の少し後で起こることになるパンデミック「スペイン風邪」を少し眺めてみましょう。

 

 

歴史を学ぶことに意味がないという人が多くいますが、個人にとって本人の過去の記憶が未来の行動に指針を与えるように歴史は人類全体の記憶であるように思えます。

 

 

 

 

さて、「スペイン風邪」と聞けば、誰でも自動的にスペインがこのパンデミックの中心地、発祥の地と思うのが普通だと思います。しかしながら事態はそう単純ではないようです。

 

 

当時は第一次世界大戦下であり、参戦国は厳しい情報統制を敷いていましたが、中立の立場を保っていたスペインでは情報統制がなかった。故にその汚名を着せられてしまった、という経緯があります。

 

 

尚、スペイン風邪の起源に関しては諸説あり、フランス起源説、アメリカ起源説、中国起源説など。完全にパンデミックの起源を特定するのは相当難解な作業のようです。

 

 

 

 

世界中で5億人(当時の世界人口の4分の1程度)が感染したと推定され、死者数5,000万人とも言われる「スペイン風邪」前後の歴史の流れを見ておきましょう。

 

 

※第一次世界大戦の全世界での死者数は推定1,600万人。

 

 

 

 

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1914-1918年 第一次世界大戦

1918-1920年 スペイン風邪

1919年 パリ講和会議

1923年 関東大震災

1929年 世界恐慌

1930年代 電子顕微鏡の発明

 

 

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以下、日本における戦争や事故、病気での死者数のデータを少し見てみましょう。

 

 

 

※死者数は、データの取り方によって異なる場合があります。

 

 

 

・スペイン風邪による日本での死者数を約45万人と推定してる研究者がいます。

 

 

・関東大震災での死者数は、

約10,5000人。

 

 

・日露戦争での戦没者が、

約84,000人。

 

 

・通常の季節性インフルエンザで毎年約10,000人の死者数が出ます。(世界での年間死亡者数は25万人から50万人。)

 

 

 

・肺炎で毎年約90,000人が亡くなります。

 

 

・毎年の自殺者数は、約20,000人から30,000人

 

 

 

・2019年の交通事故での死者数は3,215人。

 

 

・毎年1月に餅で喉を詰まらせて亡くなる方は約1,300人。(食品全般による窒息での死亡数は毎年約9,000人)

 

 

 

・covid19 での死者数は、

851名(5/26現在)。

 

 

 

 

たしかにcovid19 は危険なウイルスですので私たちは十分注意しなければなりません。油断禁物。しかしながら、私たちの日常生活の中には他にも多くの危険が潜んでいるようです。時々、注意喚起すべき項目も多くあるように思えます。

 

 

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1930年代になって漸く電子顕微鏡が登場し、ウイルスを観察できるようになりました。スペイン風邪はA型インフルエンザウイルスが原因であることも突き止められました。

 

 

インフルエンザが人類の間に定着したのは、家畜を飼いながら集団生活を始めた紀元前5,000年頃と言われています。

 

 

古代ギリシャの医師ヒポクラテスは、紀元前5世紀にインフルエンザと思われる病気の記述をしているようです。

 

 

歴史上、次のインフルエンザに関する記述は15〜16世紀のヨーロッパまで待たねばなりません。

 

 

インフルエンザという名称は、ラテン語のinfluo(流れ込む)という動詞から作られた中性ラテン語influentia (流れ込んで来るもの)に由来しています。中世イタリアでその名称が最初に採用されたようです。

 

 

ここで言う「流れ込む」という意味は「星からの流れ」を指しています。天体の影響が原因と考えられていたようです。その当時ウイルスという概念はありません。

 

 

古典ラテン語では、virusは「粘液、毒」という意味になります。いわゆる「ウイルス」の意味になるのは先程も眺めた1930年代の電子顕微鏡による「ウイルスの発見」を待たねばなりません。

 

 

人類とウイルスは切っても切れない関係にあり、常にいたちごっこを続けています。ウイルスは進化し続けます。

 

 

したがって、多くの人がパンデミックを予想してシュミレーションを行いますが、中々うまくいきません。

 

 

実は、2019年10/18にアメリカでジョンズホプキンス大学、世界経済フォーラム、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が主催してA global pandemic exercise Event 201という会議が開かれていました。

 

 

もちろんWHO も関わっています。アメリカのCDCからの代表や中国のCDCからの代表も顔を出しています。日本の厚生労働省の方が出席していたかどうか分かりません。詳しい方がいましたら教えてください。

 

 

この10/18の会議の中で「新型コロナウイルス」が南アメリカで豚から農業者に感染して、深刻な肺炎を引き起こし、やがてパンデミックが起こっていく過程を想定しています。日付の10/18に注目してください。

 

 

この10/18のシュミレーションのちょうど1、2ヶ月後に中国の武漢で実際にこれと同じようなことが起こり、全世界に衝撃が走ります。想定とほぼ同じ「新型コロナウイルス」によるパンデミックです。

 

 

 

 

この会議の模様は、YouTube で見ることができます。英語での説明ですが、字幕付きのものもあります。興味のある方はご覧ください。

 

 

ただし、こういうのを見て直ぐに陰謀論だと大騒ぎしそうな人は頭を冷やす必要はあります。

 

 

2011年の映画「コンテイジョン」でも殆ど同じような内容を想定しています。ここにもやはり陰謀論者が現れます。映画のキャッチコピーは「恐怖はウイルスより早く感染する」です。

 

 

今回のcovid19 パンデミックは、少なくとも人類史に興味のある人であれば、それがいつなのかは分からないまでも、誰でも予想可能な事柄だったわけです。

 

 

しかしながら、暫くは陰謀論が流行るかもしれませんね。今回のcovid19 のパンデミックは、ビル・ゲイツが黒幕だと叫んでいる人間が既に現れて来ています。

 

 

世界は変化し続けています。しかしながら繰り返される事象も多くあります。ウイルスによるパンデミックもその一つです。

 

 

ビル・ゲイツは数年前からウイルスの脅威に警鐘を鳴らしていました。予言でも陰謀でもありません。単純に歴史的な知識と統計学がそこにあります。さらに、善意があると信じたいです。

 

 

私たちも今回のcovid19 を機に今一度、私たち人類の歴史を丁寧に見つめ直し、人類の記憶を心に留め、私たちがより良く未来を見ることができるように、しっかり前方を照らすためのヘッドライトにしていく時なのかもしれません。

 

 

Better together

                            竜崎克巳