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英単語の作り方:特別編 No.10 年の始まり
英単語の作り方:特別編 No.8 年の始まり
学業的に1年の始まりが、もしかしたら9月になるかもしれませんね。現行の4月スタートになったのもほんの百数十年前のことです。
暦自体の歴史も紆余曲折があります。
さて、ちょっと昔、つまり紀元前くらいから暦の歴史を眺めてみましょう。世の中、色々と変化はあるものです。
「7月」を表す英単語Julyにおいて、古代ローマの英雄Julius Caesar ユリウス・カエサル(紀元前100 – 紀元前44)にその名の由来があることは比較的多くの人に知られています。
「8月」のAugustは、初代ローマ皇帝Augustusアウグストゥス(紀元前63 – 紀元14 )の名を語源としていることはご存知でしょうか?
ところで、古代ローマで使われていた言語はラテン語という言語です。
そのラテン語の数字7、8、9、10はそれぞれseptem、octo、novem、decemと言います。英語の月名に似ていますね。
数字 英語の月名
7 septem September(9月)
8 octo October(10月)
9 novem November(11月)
10 decem December(12月)
これらは英単語の月名に似ているようで、よく見ると現在の暦とは2か月のズレがあることが分かります。この現象は古代における農耕と暦の変遷に起因します。
古代のロムルス暦は、その名称からも察せられる通り、紀元前753年にローマを建国したと伝えられるロムルスによるものとされています。
この暦は、春のMartiusが年始、つまり「1月」でした。
「2月」以降は、順次、Aprilis、Maius、Junius、Quintilis、Sextilis、September、October、November、Decemberであり、農耕に適さない冬の2か月は月としてカウントしていなかったらしい。
Martius
1月
Aprilis
2月
Marius
3月
Junius
4月
Quintilis 5月
Sextilis 6月
September
7月
October 8月
November
9月
December
10月
日としては1年は304日で、10か月であり、残りの約60日は名もなき厳しい冬であったらしい。
その後、ロムルスの後をヌマという王が継承し、「名もなき冬」にJanuariusと Februariusという名称が与えられることになる。
その後、暦の改善は前153年になされ、Januariusが年始とされます。しかしながら、依然として「3月」のMartiusが「旧正月」として共存していたと伝えらており、混乱状態は続いていたようです。
前46年、ユリウス・カエサルによって1年365日のユリウス暦が定められる。
ここにおいて、正式に年始(1月)はJanuariusであると公に決定されることになります。
今まで1年のスタートの月であったMartiusは、2ヶ月繰り下げになり、「3月」となります。
順次2ヶ月ずれていき、Septemberは「7月」のはずなのに「9月」となります。
このようにして、ラテン語の数字と月名のズレが生じたのでした。さらに、カエサルは自分の誕生月の「7月」のQuintilisを自らの名前を取ってJuliusと改名します。
その後、初代皇帝アウグストゥスも、戦で勝利を収めた「8月」を、自分の名であるAugustusに改めてしまう。
以上は極めて単純化した説明であり、暦の変遷については『暦と占いの科学』(永田久著、新潮選書)に詳しく書かれています。
英単語の中のラテン語の数字の痕跡と月名のズレを観察してみよう。
octopus [octo 8+pus足](タコ) :October 10月
decade (10年):December 12月
英語という言語の中にも、社会が常に変化しているという痕跡を見つけることができそうです。
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