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英単語の作り方:特別編 No.6
英単語の作り方:特別編 No.6 コロナビールの悲劇
2020年の4月現在、私の大好きなコロナビールは生産中止にされてしまった。
ビール好きな人には有名なビールで、瓶の中にライムの切れ端を入れて飲むあの独特の飲み方、一度飲んだら病みつきになるあのテイスト、日本でも海外でもどこでも手に入るコロナビールよ、辛抱だ、今は我慢の時である。いや辛抱するのは私たちか?
どちらにせよ、言葉には罪なき実態に、今回のコロナビール生産中止のような、極めて甚大な被害を与える場合がある。「コロナ」=悪、このイメージの払拭は難しい。
「武漢風邪」という言葉を敢えて使いたいと思っている人が少なからずいるようです。そのような人はちょっとゆったり落ち着いて考えてみてください。最近は時間がありますし。
少しでも想像力のある人なら「武漢風邪」という名称が、その地域の人々に多大な被害を齎す危険な言葉になりうることが即座に理解できるのではないでしょうか。「武漢」=悪、このように、人間の脳というのは、様々なものを混線させてしまう危うい機能をもっています。
同時に「武漢風邪」という言葉は、何の罪もないこの地域の一人ひとりの心にナイフのように突き刺さるように思えませんか?
さて、今回は言葉がもつイメージとそのインパクトについて考えてみよう。
音の印象
フロイトやゲーテの翻訳などをしているドイツ文学者の高橋義孝がエッセイの中で、「私は生きざまという言葉は好きではない」というようなことを書いていた。
「生きざま」という言葉には「ざまあみやがれ」の「ざま」が入っているのでマイナスイメージを生み、敬意を示す相手に「生きざま」はないだろう、というのである。子供の頃にこれを読んで、なるほどと思ったことがある。
言葉には、その本来の意味がどうであれ手垢にまみれた汚いイメージを身に纏ってしまったものがあり、意味の正しさだけでは解決できない場合がある。
コロナはラテン語で「冠」の意味であり、その意味のどこにも悪いところはないのである。しかながら私たちはコロナという響きにゾッとするのである。
コロナビールよ、お前は悪くないぞ!悪いのは私たちの頭なのだ。私たちの頭がマイナスイメージに汚染されてしまったのだ。そしてこの汚染除去には時間がかかる。
形の印象
フランスの言語学者の書いた本の中にlocomotive という単語をじっと見つめていると「汽車」に見えてくるだろ?というのがあったのだが、著者の名前も思い出せないし、その本は学生時代に読んだものでもう売ってしまったか、家のどこかに埋もれてしまって発見不可能になっているのか、またはそんな本はそもそも存在しておらず、一連の出来事はただの夢だったのか、まあとにかく、面白いのは、本当にlocomotive が汽車を横から見たイメージに見えてきたということである。
みなさんも紙と鉛筆を用意して書いてみてください。
locomotive の先頭の煙突 l (エル) からは白い煙が出てきそうであり、車輪であるo とかc とかoとかoとかがゴトゴト音をたてて「列車」は左に進んでいく。
← locomotive
そんな風に英単語を眺めてみると、dogが「犬」に見えてきたのである。左に顔を向けており、お座りをしている。
dog
当然、catは「猫」に見えてくるのである。左向きで、尻尾をたてている。こっちに首をひねっているようにも見える。
cat
こんなイメージを持ったところで、なんの得にもならないが、言葉というものは、意味だけでできているものではないので、単語の視覚イメージや音の響きに注意してみるのも面白いかもしれない。
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